ピル・避妊

ライフステージに合わせた避妊法

避妊が必要となる期間は、一般的には人生設計において「妊娠・出産」を考える時期の前か後ということになります。
避妊法における①と②の時期の相違点は「その後の生殖能力を温存する必要があるのかどうか?」という点で、異なった考え方をします。

低用量ピル

低用量ピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンを合わせてできた錠剤です。正しく内服すれば確率の高い避妊効果が期待でき、生理痛の軽減や内膜症の発症予防など、女性の生活の質の向上に極めて効果的です。

ピルの効果には、避妊だけではなく下記のような効果があります。

  • 避妊
  • にきび、多毛症の改善
  • 月経前症候群(PMS)の改善
  • 月経周期の調節
  • 月経周期の正常化
  • 卵巣がん、子宮体がんの発症率低下
  • 子宮内膜症の緩和
  • 生理日移動

実薬のホルモン量がすべて一定のものを一相性、生理周期のように徐々にホルモン量が増えていくものを三相性と言います。生理痛や、月経前症候群(PMS)、避妊効果に対してはどちらも同等の効果があります。一相性はニキビなどの肌荒れに効果が高いと言われており、三相性は生理周期のホルモン量に近いため身体的に慣れやすいと言われています。

しかし、静脈血栓症(後述)のリスクがあり、特に喫煙者、高年齢、肥満、高血圧の方は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意して服用する必要があります。また、35歳以上の喫煙者は服用が禁忌となっています。

  • 保険適用は医師の診察の結果、月経困難症や子宮内膜症の診断の場合に適用となります。
  • 最大3シートまでの処方が可能です。

料金

配合パターン製品名1シート(税込)
一相性ファボワール2,200円
三相性ラベルフィーユ2,200円
  • 受診料・処方料などの他の費用はかかりません。
  • 初診から1年後に血液の固まりやすさ、肝臓・腎臓への負担を調べるため血液検査(税込6,600円)を推奨しております。
  • 月経困難症など婦人科疾患の場合は、保険適応となる可能性がございますので保険証を持参ください。
  • オンライン診療(グループのアイリスウィメンズクリニック立川)での処方・配送も行っております。

静脈血栓症

血栓症とは、血管の中に血栓(血のかたまり)ができてしまうことで、典型的には足(特に左足)の静脈の中にできやすいとされています(下肢静脈血栓症)。足の静脈の中にできた血のかたまりが剥がれると、血液の流れに乗って心臓の中をくぐって、肺の血管で再度詰まる(肺塞栓)と呼吸ができなくなり、重篤な場合、呼吸不全で死亡に至る場合も報告されています。

海外の調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。つまり、概算で3倍程度リスクが上昇することになります。特に喫煙者、高年齢、肥満、高血圧の方は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意して服用する必要があります。また、35歳以上の喫煙者は服用が禁忌となっています。

子宮内避妊具

ミレーナは、子宮の中に黄体ホルモンを持続的に放出する子宮内システム(IUS: Intrauterine System)です。低用量ピルの避妊効果と一度の挿入で長期の避妊効果を得られる子宮内避妊用具(IUD: Intrauterine Device)の両方の良いところを兼ね揃えた特徴を持っています。

ミレーナから放出される黄体ホルモンは、子宮内膜の増殖を抑え、内膜を薄くしたままにします。子宮内膜が薄くなると、妊娠の成立(受精卵の着床)ができなくしたり、子宮口の粘液の性状を変化させることで精子が子宮内に侵入するのを防いだりすることで避妊効果を発揮します。

避妊以外にも過多月経などの月経困難症の治療薬として国内外のガイドラインですすめられており、世界130か国で延べ3,900万人の女性が使用しています。黄体ホルモンの子宮内膜への作用により内膜を薄くすることで、月経血量を減少させるとともに月経痛を軽くする効果があり、保険適応があり最近は日本でも使用が増えています。

精管結紮術(パイプカット)

人工的に「閉塞性無精子症」の状態とする処置です。

「もうこれ以上子供は必要ない」とお考えのご夫婦には、副作用の起こりうる「薬」を使用するよりも良い選択肢となる場合があります。処置は単純で確実性も比較的高い方法と言えます。但し、「絶対」ではありません。手術をしても1-2%程度の方は完全な無精子にならないことも報告されています。

緊急避妊(アフターピル)

避妊をしないでの性交、コンドームが破けるなどのトラブルにより避妊に失敗した場合に、妊娠を防止する緊急避妊を行えます。

当院では、緊急避妊薬として妊娠阻止率が高いレボノルゲストレルを処方しております。
100%避妊できるというわけではありませんが、避妊効果は高いとされており、「希望しない妊娠を積極的に避ける」一法としてご検討ください。

レボノルゲストレルの効果

  • 性交から72時間以内
  • 妊娠阻止率82%
  • 1回服用

料金

製品名料金(税込)
レボノルゲストレル7,150円
  • 初再診料が含まれております。

看護師によるピル相談外来

生理のつらさ、我慢していませんか?

勉強・部活・仕事など100%の力を発揮したい時、こんなことを思いませんか?
「『生理』が重なってしまったらどうしよう」

生理の期間ではないのに、イライラして、愛おしい人に攻撃的にあたってしまう。
どうしようもなく憂鬱(ゆううつ)で不安で・・・、不思議と涙が出てくる。

本当は人に優しく接したいのに・・・、本当は楽しく笑っていたいのに…。
「みんなつらいから、頑張っているんだから。私も我慢しなくてはいけない…。」

それって本当なのでしょうか?

ピルの利点

ピルの利点①月経コントロール

2008年から低用量ピルは「月経困難症(いわゆる生理痛)」の治療薬として健康保険の適応となりました。
ピルというと、一昔前は「避妊」というイメージでしたが、今では避妊目的で内服を希望する人はむしろ少数派で、「生理を軽くする」などの「生理をコントロールするために」使用している人の方が多数派となっています。

最近では最長120日内服して休薬(ピルを飲まない期間)を4日間作る方法などがあります。この方法だと、生理は最長124日周期=年3回にまで減らすことができます。
内服期間は120日に限る必要はありませんので、自分に都合のいい時に生理を起こさせることさえも可能になるのです。

ピルの利点②妊活準備

生理痛が強い方が若い時からピルを使用していると、将来子宮内膜症になるリスクが下がることが知られています。

不妊治療の現場で患者様を拝見していると、多くの方が「子宮内膜症」を併発なさっていらっしゃいます。子宮内膜症は、そのものが不妊の原因になるばかりではなく、内膜症の手術を受けられた若い方が閉経寸前のような絶望的な状態となってしまうことすらあります。こうした方々の多くが「昔から生理痛がひどかった」とおっしゃられるのです。

ピル内服中のお約束

約束①ピルは「飲まない方がいい」人がいます

ピル内服中は血栓ができやすくなります。
タバコを吸う人、血圧が高い人、肥満の人、脱水の人や高齢の人も血が固まりやすくなります。
安全に飲んでもらうために、あらかじめ皆様の状況をお伺いし、処方をおススメしないことがあります。

約束②「ピル博士」になりましょう!

「ピル内服により血栓症を起こす可能性がある」という意識をみなさん自身が持つことが重要です。
血栓症は「起こしやすいパターン」があることが知られていますので、これを避けるようにしましょう。

約束③万一の時には即受診、そして「医師に疑ってもらう」

どんなお医者さんでも「ピルを飲んでいる」と聞くと、真っ先に「血栓症」を疑ってかかります。
万一の受診の時には、先生に「ピルを飲んでいる」ことを告げてください。

ピル内服Q&A

Q1.長い間生理を起こさないで大丈夫なの?

A1.大丈夫です。

世界的に最高水準にあるとされている「コクランレビュー」にも以下のように記載されています。

“ピルを使って月経周期を28日以上に延長して月経を避けることは、子宮内膜症、月経困難症や月経随伴症状の治療として適した方法となっている。さらに、個人の好みにより月経をコントロールすることは、コンプライアンスの向上、満足度の向上、月経随伴症状の減少、生理休暇の減少など女性にとって利点があるのかもしれない。”

Q2.将来妊娠しにくくなりませんか?

A2.ピル服用によって将来妊娠しにくくなることはありません。

ピル使用中は薬の作用で排卵が抑えられていますが、服用を中止すれば速やかに通常の状態に戻りますので長期間服用を続けても妊娠しにくくなることはありません。

また、ピル内服は現在不妊治療の現場で最も苦渋する病態の一つである「子宮内膜症」の発症率を低下させる可能性があると考えられていますので、将来の妊娠にはむしろ有利に働くものと思われます。

Q3.費用はどの位かかりますか?

A3.月経困難症(生理痛)に対応する場合、保険診療の範囲内となります。

自費診療の場合、ピル処方は当院では1シート2,000円(税別)で、受診料などその他の費用は掛かりません。

なお、保険診療では処方できないピル(第三世代と呼ばれるピル)があり、これが最適である、と考えられる場合、自費で第三世代ピルをお勧めさせていただくことがありますが、その場合も保険診療の3割負担と同等か、逆に安くなる場合もあります。

Q4.受診すると内診がありますか?

A4.症状がない場合(避妊目的)では基本的には行いません。

症状がある場合には適切な診断のため拝見させていただくことがあります。性交経験がない場合などはお腹からの超音波で拝見させていただくことも可能です。ご要望がございましたらお申し出ください。

Q5.他院で処方を受けていますが、継続処方は可能ですか?

A5.ピル使用の禁忌/慎重投与に相当しなければ当院で継続診療可能です。

当院にご受診いただきました際には、再度問診をさせていただきます。

予約方法

当院では皆様が快適に日常生活を送っていただけるように、そして何より将来「不妊」で悩む方が一人でも減るように、情報提供を行っていきたいと考えております。

① まずはお電話にてご予約ください(0422-31-3737)
② 看護師とのピル相談の実施

不安な点・疑問に感じる点などをお気軽にご相談ください。
ピル使用の利点・欠点を含めたお話をさせていただきます。
一緒に考えていきましょう!

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