先進医療
保険診療で体外受精を行う一連の流れの最中、同時に自費の項目を行うことは許されていません(混合診療の禁止)が、その例外事項として認められているものの一つが先進医療です。
先進医療の実施医療機関は認定制ですが、当院では以下の先進医療の実施が認定されています。
但し、以下先進医療に振られているものは全て、生殖医学的に「挙児率が上昇する」と証明されているものは皆無ですので、最新のエビデンスを情報提供し、皆様にご同意いただけた場合のみ使用いたします。 (当方より使用を強制したり、ルーチーンで使用することはございません。)
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養(タイムラプス・インキュベーター)
タイムラプス撮影機能を有する顕微鏡が当初より据え付けられた培養器で胚培養を行う手技です。
従来の培養器に比べ、
- 観察時に培養器から胚を取り出さないので、胚に環境変化(温度/湿度/光量/pH)が及ばない可能性があるのではないか?
- 胚の変化を動的に観察できるので、胚選択に役立つのではないか?
と仮想されています。
膜構造を用いた生理学的精子選択術(ZyMot~ザイモート)
体外受精・顕微授精に供する精子は、通常遠心分離操作を用いて抽出しますが、本法ではZyMotと呼ばれる専用のデバイスを用いて抽出操作します。 遠心分離操作により精子にダメージが及ぶのではないか?ZyMotを用いれば(遠心分離を行わないので)ダメージが及ばないのではないか?と仮想されています。
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI~ピクシー)
成熟した精子はヒアルロン酸への接着能を有するのではないか?との仮想の元、ヒアルロン酸に付着した精子のみを用いて顕微授精を行おうとする方法です。
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI~イムジー)
通常の顕微授精で用いる顕微鏡よりも拡大して精子を観察し、なお形態良好な精子を顕微授精に用いようとする方法です。
子宮内細菌叢検査1(EMMA/ALICE~エマ・アリス)・2(子宮内フローラ)
子宮内は無菌ではないのだろう、「善玉菌「悪玉菌」が存在しているのだろう、「悪玉菌」が多いと着床能が低下するのではないか?との仮想から、子宮内の菌の状況を検査しよう、という方法です。
1(EMMA/ALICE~エマ・アリス)と2(子宮内フローラ)は受託している検査会社の違いです。
子宮内膜着床能検査1(ERA~エラ)
凍結胚を融解胚移植する際に、通常「5日目の胚を5日目の内膜に」戻すわけですが、個人個人の体質により「5日目の胚を4日目の内膜に」戻したり、「5日目の胚を6日目の内膜に」戻したりする方がいい人がいるのではないか?という仮想があります。
着床しやすい時期/しにくい時期を「窓が開閉するイメージ」で「着床の窓」と呼びます。この「窓」が開く時期が他人とズレているのではないか?という仮想です(俗に「窓ズレ」などと呼ばれているようです)。
本検査はこの個人個人の「窓」が開く時期を調べようと仮想設計された検査です。
料金について
当院での先進医療の料金は以下となります。
(先進医療には消費税はかかりません)
料金 | |
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養(タイムラプス・インキュベーター) | 30,000円 |
膜構造を用いた生理学的精子選択術(ZyMot~ザイモート) | 28,000円 |
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI~ピクシー) | 30,000円 |
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI~イムジー) | 12,000円 |
子宮内細菌叢検査1(EMMA/ALICE~エマ・アリス) | 70,000円 |
子宮内細菌叢検査2(子宮内フローラ) | 46,000円 |
*子宮内膜着床能検査1(ERA~エラ) | 140,000円 |
先進医療の助成金制度
東京都では、保険の体外受精実施に際し併用した先進医療費に対する助成金制度が設けられています。
生命保険会社の先進医療特約
当院の先進医療は厚生労働省(厚生局)に認可を受けたもので、一般的に生命保険会社の先進医療特約に該当するかと思われますが、利用をお考えの方はあらかじめご加入の保険会社にご確認ください。