生殖補助医療における先進医療について
先進医療とは、厚生労働省が安全性や有効性を確認し、保険診療と併用することを認めた医療技術です。体外受精では、良好な胚(受精卵)の選択や、妊娠しやすい環境づくりを目的として実施されます。
先進医療の費用は自己負担(※先進医療の費用は保険診療費とは別にご負担いただきます。)となりますが、妊娠率の向上が期待できる場合があります。ただし、効果には個人差があり、すべての方に必要な治療ではありません。
当院の先進医療に対する考え方
先進医療は「妊娠率の向上が期待できる追加の選択肢」の一つです。当院では、年齢、不妊の原因、これまでの治療経過、精液所見、胚の発育状況などを総合的に判断し、必要性が高いと考えられる方には積極的にご提案いたします。
一方で、必要性が低い場合には無理にお勧めすることはありません。患者様のご希望やご予算も踏まえながら、お一人おひとりに適した治療をご提案いたします。ご不明な点がございましたら、診察時にお気軽にご相談ください。
当院で提供している先進医療(受精・培養・移植)
顕微授精時に実施可能な先進医療
培養時に実施可能な先進医療
胚移植時に実施可能な先進医療
PICSI(生理学的精子選択術)
どのような技術?
PICSI(ピクシー)は、顕微授精(ICSI)の際に、成熟した良質な精子を選ぶための技術です。成熟した精子だけが結合する「ヒアルロン酸」という物質を利用し、DNA損傷の少ない精子を選別して顕微授精を行います。
メリット
- より成熟した良質な精子を選択することができます。
- DNA損傷の少ない精子を選択できる可能性があります。
- 胚の発育改善による、妊娠率の向上や流産率の低下が報告されています。

こんな方におすすめ
| 受精はするものの、 胚盤胞まで発育しにくい方 |
| 成熟した良質な精子を選択することで、胚の発育改善につながる可能性があります。 |
| 着床不成功や流産を 繰り返している方 |
| 精子由来の要因が関与している場合があり、良質な精子を選択することで妊娠継続率の向上が期待されます。 |
| DFI検査(精子DNA断片化検査) で DNA断片化率が高いと指摘された方 |
| DNA損傷の少ない精子を選択できる可能性があり、胚の質や妊娠成績の改善が期待されます。 |
価格:30,000円
IMSI(強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術)
どのような技術?
IMSI(イムジー)は、顕微授精(ICSI)の際に、通常の約400倍ではなく約6,000倍の高倍率顕微鏡で精子を詳しく観察し、より形態の良い精子を選別し顕微授精を行います。通常では確認できない精子の微細な異常まで観察できるため、より良質な精子を選択できる可能性があります。
メリット
- 精子の形態を詳細に確認でき、精子頭部の形態異常(空胞など)を確認でき、より良質な精子を選択することができます。
- 通常の顕微授精では確認できない精子の微細な異常を観察できます。
- 胚の発育改善や妊娠率の向上、流産率の低下が期待されています。

こんな方におすすめ
| 受精はするものの、 胚盤胞まで発育しにくい方 |
| より形態の良い精子を選択することで、胚の発育改善につながる可能性があります。 |
| 着床不成功や流産を 繰り返している方 |
| 精子の微細な形態異常が関与している場合があり、良質な精子を選択することで妊娠継続率の向上が期待されます。 |
| 精液検査で精子の 形態不良を指摘された方 |
| 高倍率で精子を詳しく観察することで、より形態の良い精子を選択できる可能性があります。 |
価格:30,000円
ZyMot(膜構造を用いた生理学的精子選択術)
どのような技術?
ZyMot(ザイモート)は、マイクロ流体チップを用いて運動性の高い精子を選別する技術です。遠心分離を行わず、精子が自ら泳いで微細な通路を通過する仕組みを利用することで、DNA損傷の少ない良質な精子を回収します。
当院では顕微授精(ICSI)を行う際に利用可能です。
メリット
- DNA損傷の少ない精子を選択できる可能性があります。
- 遠心分離による精子への負担を軽減できます。
- 胚の発育改善や妊娠率の向上、流産率の低下が期待されています。

こんな方におすすめ
| 受精はするものの、 胚盤胞まで発育しにくい方 |
| DNA損傷の少ない精子を選択することで、胚の発育改善につながる可能性があります。 |
| 着床不成功や流産を 繰り返している方 |
| 精子のDNA損傷が関与している場合があり、良質な精子を選択することで妊娠継続率の向上が期待されます。 |
| DFI検査(精子DNA断片化検査)で DNA断片化率が高いと指摘された方 |
| DNA損傷の少ない精子を回収 できる可能性があり、受精や胚発育の改善が期待されます。 |
価格:25,000円
培養時に実施可能な先進医療
タイムラプス培養
どのような技術?
タイムラプス培養は、培養器に内蔵されたカメラで受精卵(胚)を24時間連続的に撮影しながら培養する方法です。胚を培養器から取り出すことなく、受精から胚盤胞までの発育過程を詳しく観察することができます。
メリット
- 胚を培養器から取り出さずに観察できるため、温度や培養環境を安定して保つことができ、ストレスのかからないより良好な受精卵が得られる可能性があります。
- 胚の発育のスピードや細胞分裂の様子を詳しく確認できます。
- 発育状態をより詳しく評価できるため、胚選択の参考情報が得られます。

こんな方におすすめ
| 良好な胚を移植しても 妊娠に至らなかった方 |
| 見た目の評価だけでは分からない胚の発育状況を詳しく確認できるため、胚選択の参考情報を増やすことができます。 |
| 年齢が高めの方 |
| 加齢に伴い胚の発育に影響が出ることがあります。タイムラプス培養では、胚を培養器から取り出さずに観察できるため、安定した環境で培養を行うことができます。 |
| 採卵数が少ない方 |
| 採卵できた卵子や胚が少ない場合は、一つひとつの胚をより詳しく評価することが重要です。タイムラプス培養は、貴重な胚の評価に役立つ情報を得ることができます。 |
価格:30,000円
胚移植時に実施可能な先進医療
SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)
どのような技術?
SEET法(シート法)は、胚を培養した際の培養液(SEET液)を胚移植の数日前に子宮内へ注入し、子宮内膜を着床しやすい状態に整えることを目的とした技術です。
メリット
- 子宮内膜を着床しやすい状態に整えることが期待できます。
- 着床率や妊娠率の向上が期待される場合があります。
- 自然妊娠に近い環境づくりを目指すことができます。

こんな方におすすめ
| 良好な胚を移植しても 妊娠に至らなかった方 |
| 胚だけでなく、子宮内膜側の要因が関与している可能性があり、着床環境の改善が期待されます。 |
| 着床不成功を 繰り返している方 |
| 子宮内膜と胚の情報交換(クロストーク)を促すことで、着床しやすい環境づくりを目指します。 |
| 凍結融解胚盤胞移植を 予定している方 |
| SEET法は主に凍結融解胚盤胞移植で行われる技術であり、着床率や妊娠率の向上が期待されています。 |
価格:25,000円
よくある質問
A. 先進医療は、妊娠率の向上が期待できる場合に追加で行う治療です。ただし、すべての方に効果があるわけではなく、年齢や不妊の原因、胚の状態などによって期待できる効果は異なります。当院では、一人ひとりに必要性を判断し、ご提案しています。
A. 必須ではありません。先進医療を行わなくても、通常の体外受精・顕微授精で十分な治療効果が期待できる方も多くいらっしゃいます。当院では、必要性が高いと考えられる場合にご案内しています。
A. 掲載している先進医療は、厚生労働省が認めた先進医療であり、保険診療の生殖補助医療(ART)と併用することができます。なお、先進医療にかかる費用は自己負担となります。
A. 年齢、不妊の原因、精液所見、これまでの治療経過、胚の発育状況などを総合的に判断し、適した先進医療をご提案します。すべての先進医療を受ける必要はありません。
A. 治療内容によっては複数の先進医療を組み合わせることが可能です。ただし、患者様の状況によって適応は異なりますので、診察時にご相談ください。
A. 先進医療は妊娠率の向上が期待できる治療ですが、妊娠を保証するものではありません。また、効果には個人差があります。当院では、科学的根拠に基づき、期待できる効果と限界について十分にご説明したうえでご提案しています。
A. 先進医療は保険診療とは別に自己負担となります。費用は治療内容によって異なりますので、料金表をご確認ください。また、治療前に費用についてご説明いたします。
A. 当院では、患者様の年齢、不妊の原因、精液所見、反復不成功の有無、これまでの治療経過などを総合的に評価し、効果が期待できると判断した場合にご提案しています。必要性が低いと考えられる場合には、無理にお勧めすることはありません。
